教授あいさつ
良医の育成、
地域医療への貢献を目指して
教授片岡 雅晴
2020年12月より産業医科大学第2内科学(循環器内科・腎臓内科)教授を拝命しております、片岡雅晴と申します。
赴任後より、最新の知見に基づく最高水準の循環器診療と腎臓診療を提供すべく、産業医科大学病院および関連病院全体の診療体制を整備して参りました。疾患領域ごとに国内外の第一線で活躍するスタッフが臨床・研究・教育に全力で取り組んでいます。特に、当院では2023年8月から急性期診療棟が新規稼働し、先進カテーテル治療法やステントグラフト治療等がさらに増加しています。また、心筋症・心アミロイドーシス・心ファブリー病・肺高血圧症といった難病疾患診療にも注力しており、遺伝学的アプローチも可能な包括的診療体制を取り入れています。最先端の分子生物学的研究体制も整え、基礎研究においても多くの成果が上がって参りました。このような取り組みを通じ、臨床や研究の経験を通じて感じた疑問を自らの力で根気強く解決できる人間力を有する若手医師を育てて参ります。産業医科大学と第2内科学教室の発展、および未来を担う良医の育成を誓い、目まぐるしく発展する領域に誠心誠意取り組んで参ります。第2内科学教室を今後ともご支援頂きますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。
2024年10月吉日
講座概要
循環器系
循環器内科は北九州地域唯一の大学病院として、日常診療でよくみる一般的な病気から有病率の極めて低い希少疾患まで、心臓及び血管に関する全ての疾患の診療を行っています。そのため当科は「心血管インターベンション班」「心不全・心エコー班」「肺循環班」「不整脈班」「基礎研究班」と5つの専門グループで構成され、それぞれ大学病院ならではの高度な診療・教育・研究を行っています。
診療においては、新しく建設された急性期診療棟により、救急患者の円滑な受け入れとともに、近年発展のめざましい循環器領域の高度な診断・治療技術を提供する設備も整い、安全で治療効果の高い最新の治療を導入しています。また、診療体制にはひとりの患者さんを複数の医師で担当する「チーム制」を採用しています。その上で、各専門グループ毎のみならず全体カンファレンスできめ細く検討し、患者さんの病状を総合的に把握すると共に、必要に応じて心臓血管外科や脳卒中血管内科・リハビリテーション科とも連携して、1人1人の患者さんを大切に、それぞれにとって最良の診療を提供すること目指しています。
教育・研究も充実しています。各専門グループにはそれぞれの分野のエキスパートが複数在籍し、日本循環器学会をはじめとした循環器関連諸学会の専門医研修施設として、若手医師の育成・専門医の取得に必要な指導を行っています。また、ベッドサイドで生じるクリニカルクエスチョンや、臨床上未解決の課題を解決するための臨床研究を遂行し、学会発表や論文などの情報発信を通じて、多くの医局員が学会賞受賞や医学博士学位を取得しています。臨床研究のみならず、循環器疾患に関連する遺伝子や分子生物学などの基礎研究も精力的に行っており、臨床と基礎をつなぐ視点をもったリサーチマインドを備えた医師を育成しています。さらに、医局員の国内留学・海外留学も奨励しており、国内外の有数な施設で活躍する医師を多数輩出し、研鑽を積んで当院に帰学したスタッフが活躍しています。我々循環器内科は、何よりも患者さん第一を旨としつつ、医局員の成長と発展を志しています。
この他にも当科は、循環器診療に関するガイドラインの作成など国内の診療指針の策定にも貢献するとともに、本学の目的でもある産業医学においても、患者さんの治療と仕事の両立支援や産業医学研究にも積極的に取り組んでいます。
腎臓内科
腎臓内科では、腎炎、ネフローゼ症候群、慢性腎臓病、急性腎障害、尿細管機能異常、酸塩基平衡・電解質異常などの疾患を対象としています。腎炎・ネフローゼ症候群には腎生検を行い、腎臓病理医と連携をとり正確な診断のもと治療を行っています。慢性腎臓病の診療では薬物介入に加えて、個々の患者に適した食事・栄養管理を行い長期的な腎予後を見据えた腎保護療法を実践しています。適切な時期に療法選択説明を行い患者さんの意志を尊重した腎代替療法の導入を行っています。ブラッドアクセス造設術、腹膜透析カテーテル挿入術をはじめすべての透析関連手術・VAIVTを腎臓内科で行っており、アクセストラブルにも積極的に対応しています。血漿交換など体外循環を必要とする治療を行っており腎疾患以外の疾患の治療にも関わっています。また、腎不全、透析治療に関連した臨床研究・基礎研究に取り組んでいます。